Jul 31, 2009

赤ら顔を克服する方法

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 昨年の皆既日食は、南太平洋のごく一部の場所でしか見物できなかった。それを目にした数少ない人たちに含まれるのが、米インターネット検索大手グーグルの創設者、ラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏だ。両氏はプライベートジェットを使用して見物旅行に出かけた。

 米連邦航空局(FAA)の飛行記録によると、両氏は昨年7月の日食の直前、8時間以上かけて米国本土からタヒチ島に飛んだ。両氏は島の波止場で月食を見物したようで、ブリン氏が望遠鏡をとおして写真を撮影する姿が目撃されている。その後、両氏は見物仲間の1人と写真に収まっている。

 プライベートジェットを利用できる人は、セキュリティーチェックの列に並んだり、荷物に割り増し料金を課されることなく世界中を自由に飛び回ることができる。しかもプライベートジェット機の飛行経路は通常、特定の航空機の動きを公の目から「遮断する」連邦政府認可の制度を通じて隠匿されている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はこの隠された世界に侵入した。情報公開法に基づいて情報開示を申請し、2007~10年にかけてFAAの航空交通管理システムに記録された全プライベート航空機の記録を入手した。これには、これまで公の目から覆い隠されてきた航空機の飛行記録も含まれている。

 これら飛行記録が入手できた背景には、FAAが航空交通データは公有財産であるとの考えから、飛行記録システムに記録されたデータの一段の開示を検討していることがある。FAAは、それら情報には乗客を特定できるデータや飛行の目的は含まれていないため、開示しても個人情報保護法違反には当たらないと主張している。また、それら情報の開示がセキュリティーを著しく脅かすことが立証できる場合には、開示を阻止することができる。この件に関し、FAAはコメントを差し控えた。

 こうした動きに企業や航空団体は反対の姿勢を示している。企業経営者の多くは、競争上の理由からプライバシーの保護を要求しており、飛行記録から供給業者や顧客との会合などの機密情報がライバル会社に漏れる可能性を危惧している。また、航空機での移動がネットで追跡されかかねないとしてセキュリティー上の懸念を挙げるものもいる。

 以前に米半導体大手テキサス・インスツルメンツ(TI)でセキュリティー部門の責任者を務めていた航空セキュリティーのコンサルタント、ジョン・サリバン氏は、航空機が特定の飛行場に向かうことを突き止め「誰かを陥れようとする犯罪者やテロリスト、精神異常者は大勢いる」と話す。

 FAAやその他の航空記録によると、ページとブリンの両氏は、航空機を少なくとも4機所有しており、いずれもグーグルとは関係のないさまざまな会社名で登録されている。ボーイング767とボーイング757をそれぞれ1機とガルフストリームVを2機だ。駐機場のあるカリフォルニア州北部を除いて、それら航空機が4年間で最も頻繁に訪れた目的地はロサンゼルス、ニューヨーク、ワシントンDCだ。

 昨年の日食見物旅行では、ボーイング767と1機のガルフストリームVがそれぞれ、米国本土とタヒチ島を2往復している。米航空コンサルタント会社、コンクリン・アンド・デデッカー・アビエーション・インフォメーションの推計によると、使用された航空燃料は5万2000ガロン、総運航費用は43万ドル以上に及ぶ。

 グーグルの広報担当者は、タヒチ旅行が日食見物のためであったことを認め、飛行機には両氏を含む一団が同乗していたと述べた。また、プライベートジェットの利用によって排出される温室効果ガスについて、両氏はその量を上回る排出権を購入することで抑制に努めているとした。さらに、航空機は慈善や科学的目的のためにも頻繁に貸し出されているとした。

 プライベートジェット機の飛行記録を公共財の一部とみなすかどうかをめぐって盛んに議論が行われる一方で、FAAが公開を阻止した航空機のリストについて、詳細を明らかにするための別の取り組みが昨年行われた。非営利の報道組織、プロパブリカが、飛行記録が隠匿された航空機の一部、1200機分のリストを入手したのだ。

 その後FAAは、飛行経路の公開遮断制度の範囲縮小を提案した。この問題は現在、米議会に委ねられている。米下院ではFAAによる範囲縮小を阻止する法案を可決したが、上院で可決された法案には範囲縮小を阻止する条項は含まれていない。

 WSJは、米国の全プライベートジェット機の飛行記録を入手した。そのうちの約3分の1は近年、記録の公開が遮断されている。

 FAAの飛行記録の多くは、タヒチへの日食見物旅行のようにエキゾチックなものではない。例えば、過去4年で最も飛行回数の多かったプライベートジェット4機の所有者はいずれもウィスコンシン州オークレアを拠点とする非上場のホームセンターチェーン、メナードだった。1日に5回飛行していることも多く、行き先はミネソタ州マーシャルやサウスダコタ州スーフォールズ、カンザス州マンハッタンなどだった。

 メナードの広報担当者は、従業員があちこちに点在する現場を訪れたり、店舗でトレーニングを実施するにはプライベートジェット機を利用するのが効率がいいからだと述べた。

 だが、かなりの割合のフライトが高級リゾート地向けであることからして、プライベートジェット機が多くの場合、休暇目的に使用されていることが分かる。過去4年間にFAAのシステムに記録されたプライベートジェット機の飛行回数は少なくとも670万回に上り、運航費用は少なくとも260億ドル、使用された航空機燃料は約30億ガロンに上る。

 そのうち約3分の1が、フロリダ州パームビーチやコロラド州アスペン、ネバダ州ラスベガス、マサチューセッツ州ナンタケットやバハマ諸島、メキシコのカボサンルーカスをはじめとする300余りのリゾート地向けだ。

 大富豪の一部は複数のプライベートジェット機を所有している。米マイクロソフト創設者で会長のビル・ゲイツ氏は、4年間においてさまざまな民間会社を通じてプライベートジェット4機とヘリコプター1機を所有しており、最近少なくとも1機を売却している。最も訪問回数の多かった場所は、ワシントンDC、パームスプリングス(ゴルフをしている姿がたびたび目撃されている)、モンタナ州ボーズマン(近くにはゲーツ氏がメンバーの高級会員制クラブがある)だ。このほか、マリやタンザニアといったアフリカ諸国へも飛行している。

 飛行記録からは、ゲーツ氏と富豪仲間のウォーレン・バフェット氏とのよく知られた親しい関係性もうかがい知ることができる。ゲーツ氏は、バフェット氏が運営する投資会社バークシャー・ハザウェイの本拠地、ネブラスカ州オマハにも合計18回訪れている。ゲーツ氏はバークシャーの取締役会メンバーも務めている。

 記録によると、マイクロソフトの共同創設者、ポール・アレン氏はバルカン・フライト・マネジメントという会社を通じてプライベートジェット3機を所有していたが、そのうちの1機、ボーイング757を最近、米実業家のドナルド・トランプ氏に売却している。

 過去4年で最も頻繁に訪れたのはロサンゼルス、ニューメキシコ州サンタフェ、フランスのニースだ。昨年5月末には、ガルフストリームVでワシントン州シアトルから南アフリカの競技場まで飛行し、3週間後にケニア経由で帰国している。

 中には所有者を特定するのが難しいプライベートジェットもあった。その1つが、ロサンゼルスの弁護士事務所の住所に所在する有限責任会社に登録されたボーイングのビジネスジェット機だ。だが、米アニメ制作会社ドリーム・ワークス・アニメーションSKGの08年の規制当局への提出書類から、同航空機はハリウッドの映画プロデューサーで監督でもあるスティーブン・スピルバーグ氏とドリームワークスのジェフリー・カッツェンバーグ最高経営責任者(CEO)が共同所有していることが明らかになった。

 カリフォルニア州南部以外で過去4年に最も飛行した回数が多かった目的地は、スピルバーグ氏が別荘を所有するニューヨーク州ハンプトンズだった。この件に関し、スピルバーグ氏の広報担当者はコメントを差し控えるとした。

 米国人俳優、ジョン・トラボルタ氏のジェット機もやはり特定が難しかった。トラボルタ氏自身操縦好きで知られており、ボーイング707を含めプライベートジェット機を3機所有しており、いずれも末尾が「JT」の番号で登録されている。

 昨年、トラボルタ氏の自宅付近に位置するフロリダ州オカラの飛行場から全部で111回にわたって飛行した先はフロリダ州クリアウォーターだ。同地にはトラボルタ氏が所属する新興宗教団体、サイエントロジー教会の本拠地がある。トラボルタ氏の広報担当者は、トラボルタ氏が操縦免許を持っていることは認めたが、それ以外についてはコメントを差し控えるとした。サイエントロジー教会の代表者もコメントを差し控えるとした。

 そのほかプライベートジェット機を所有する著名人には、米人気トーク番組司会者、オプラ・ウィンフリー氏がいる。ウィンフリー氏が所有するボンバルディア製グローバル・エクスプレスはカリフォルニア州サンタバーバラに122回降りたっている。付近にはウィンフリー氏が所有する巨大な不動産があり、金曜日の午後または夜にシカゴを飛び立っていることが多いようだ。

WSJが今回用いた調査方法

 WSJでは、情報公開法に基づいてFAAにいくつか申請を行い、拡張航空交通管理システム(ETMS)のデータベースすべてに対するアクセス権を確保した。ETMSには、計器飛行規則(IFR)にのっとって米国内を飛行する航空機の飛行記録が保持されている。そのうち07~10年の4年間の非商業航空機の飛行データについて分析を行った。

 FAAの飛行記録には、「航跡番号」と呼ばれる航空機の登録番号ごとにすべてのフライトがリストアップされているが、航空機の所有者や運航者名は含まれていない。WSJでは、各航跡番号と、FAAが保持している2011年1月の航空機運航者リストとを照らし合わせて所有者や運航者名を割り出した。運航者名が見あたらなかったり、不明な場合は、別のFAAの航空機登録データにリストアップされた航跡番号の所有者名を使用した。さらに詳しい調査の上、所有者や運航者名を特定したケースもある。

 航跡番号の中には、本来その番号が割り当てられた航空機が売却されるなど何らかの理由によっていったん使用されなくなり、その後、別の所有者の別のジェット機に再び割り当てられたものもあった。したがって、過去4年に特定の航跡番号で登録された航空機については所有者が複数いた。そのようなケースについては、WSJは航空機販売業者から航空機の所有者や運航者の変更日に関する最新記録を入手することで、正確なデータを特定するよう試みた。

 費用推計の作成にあたっては、コンクリン・アンド・デデッカー・アビエーション・インフォメーションから、一般的な社用ジェット機または最も近い機種の1時間当たりの運航費用データを入手した。その1時間当たりの運航費用推計にFAAのデータに表示された飛行時間を乗じて算出した。

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